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あの赤い雨との戦いから一週間がたった。俺たちは、その間に次の目指す場所の行くための計画を練っていた。
ちなみに、次に目指す場所の名前は『セルナイフ』と呼ばれているところで、アポカリプス同様に大都市らしい。ただ、さまざまな問題があるようで……。
「それで、『セルナイフ』についてなんだけど……何か知っている人はいるのか?」
「……それはノイワールが知っている」
「シェリーの言う通り俺はこの街について知っている……ここは、とても治安が悪くて問題プレイヤーによる『PK』そして、街の中に多数のモンスターも目撃されているらしい……怖えところだ」
セルナイフか。俺がゲームでやっていたときも治安がいいとは思えなかった。赤い雨と匹敵するぐらいの悪いやつはたくさんいて、そこで危ない取引や詐欺行為などといった犯罪行為が、数々行われていたという情報があった。それに、街の中にモンスター? ふん……笑えないなそれは。
通常は街の中にモンスターが入ってくるなんてことありえない。やはり、この世界は何かがおかしい。ゲーム通りとはいかないわけか。
セルナイフ……また何かが起こる気がしてならない。
「セルナイフに商人として、行ったときは死にそうだった……もともと戦う力がない俺にとっては、まさに地獄のような場所だからな」
「ひ、ひぃ……なんか怖いよ! シロウ……」
エリザは泣き顔で俺の袖を、掴みながらとてもその掴んでいる小さな手が震えていた。今までの話を聞いたらそりゃエリザには少し荷が重いか。
俺だってセルナイフには正直行きたくない。だが……俺たちは行かなかければ行けない理由がある。
二つ目のカケラ、『赤のカケラ』を手に入れるために。それに今回は、前回のように人からは手に入れない。自分たちで水の中に潜り、カケラを手に入らなければならない。
そこまで行くには十分な酸素ゲージに、モンスターに対抗するためにレベルや装備品などをしっかりしなければならないな。
そして、万が一プレイヤーと戦闘することになったら……精神面も重要になってくる。
「とにかくよ! シロウとシェリーの力は前回で強大なものだと分かった……特にシロウには驚かされてよ! お前がいれば『セルナイフ』だって怖くないと思えたんだ!」
「そんなに褒めないでくださいよ……俺だってまだまだなんですから……」
俺はノイワールさんの言葉を否定するようにこう言った。この前の戦い。俺はあのアカギに負けていてもおかしくなかった。エリザの祈りの力……これがなければ俺たちこの場にいなかった。
そうだ! あのときのエリザの力が使えれば……。
「エリザ! お前がアカギとの戦いのとき使った『祈りの力』それは一体何だったんだ?」
「……それが分からないの……私はあのときシロウがやられてしまうかもしれないから必死に両手を合わせて祈っただけなの……そしたら……」
エリザの話からすると、何か特殊な魔法でもスキルでもない。本当にあのとき何が起こったんだ? ゲームシステムをこえた何かが起こったというわけか? そんなことは通常はありえない。
そう……通常のゲームの世界なら。
「どうやら、俺たちがまだしらないこともあるようだな……でも、エリザちゃんのその祈りは間違いなくシロウに届いたからいいんじゃないか?」
「……うう、なんか恥ずかしい」
エリザは表情を少し赤くして下をうつむいてしまった。エリザは意外にも恥ずかしがり屋なのか? 俺がそんなことを思っているそのときだった。
ガタン! と椅子から立ち上がる音がこの部屋を支配した。その音を出したやつの正体は……あの無愛想剣士だった。
「……何が祈りですか? そんなものこの前がたまたまだっただけ……そんな可能性の低いものに頼っていてはいつまでたっても強くなりませんよ?」
「おいおい? 俺は別にエリザの祈りの力は過信してはいない! 俺自身強くならないといけないと思ってる!」
「どうですかね……? どちらにしろこのままじゃあなたは死ぬ!」
「ちょっと! シェリーさん少し言い過ぎじゃないですか? それにあのとき……私がこの祈るという行動をさせたのはシェリーさんの言葉ですよ!」
なに? それはどういうことだ? 俺はそのエリザの発言を聞いて、驚きを隠せなかった。あのシェリーがエリザに何を言ったのかは分からないが、エリザはシェリーに何か言われて、祈るという行動までした。それが本当なら……いろいろと混乱するぞ俺。
「あのときは自分の命も危なかった……だからあんなことを言ったまでです!」
「うそですね! 私には本気で言っているように聞こえましたよ!」
いつ間にかエリザとシェリーが喧嘩をしてしまっていた。ノイワールさんの方を見るとどうすればいいか。そんなことを思いながら、おどおどしていた。それは顔と行動を見て俺はすぐに分かった。ということは……俺がなんとかしないと駄目なのね。
やれやれ……セルナイフに行く前に、これでは先が思いやられる。
それにシェリーの発言はいただけないな。俺だってこの前の戦いで、アカギから学んだことがある。
それは、誰かのために戦うということは素晴らしいことだと。そして、そういうときに発揮される本当の力は。
俺は言い争っているシェリーとエリザを割り切りようにこう言った。
「お前たちの言い分はよく分かった! だけど、シェリー! お前は俺をこのまこのままだと死ぬと言ったな? その言葉……俺に勝ってから言え!」
「……と、言いますと?」
俺のこの発言にエリザは完全に沈黙し、シェリーは俺のほうを見ながら少し睨みながらこんなことを言った。
なるほど……これはちょうどいい。
一回こいつとはデュエルをしてみたかった。本気のな。
だから、シェリーが感情的になっている機会などそうはない。これは少ないチャンスだと思って、俺はシェリーに……。
「デュエルを申し込む! いいだろ?」
「……なるほど、そうですね……いいでしょう! あなたは私には勝てない、それを結果で証明してみせます!」
きたきた! 俺は心の中でそう思いながらシェリーとのデュエルが決定された。
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