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どうもです。
今回は企画ということで、題名通りのことをやりたいと思います。
小説家になろうで埋もれている名作を探すという企画です。
小説家になろう。このサイトは現在の一番大規模の小説サイトとも言ってもいいでしょう。
今日の時点で小説掲載数358,743作品。登録者数673,411人。 という小説を執筆している人なら知らない人はいないと思います。
まあ、僕もこのサイトを利用させています。
ということでなぜこの小説家になろうというサイトが流行っているか個人的に考えてみました。
①評価やブックマーク機能がしっかりとしている。
②ユーザーに登録しなくても作品の観覧が可能。
③無料の作品が数々楽しめる。
④ランキングが見やすい。
etc……。
この他にもあると思いますが個人的にやっぱり使いやすいと思いますね。
小説を執筆してる側、観覧している側からでもこのような利便性を感じると思います。
さて、ここまでいいところばっかり書きました。決してステマではありません笑。
そして、なぜ今回このような企画をしたか。
その理由である問題点をここからは書きたいと思います。
作品の傾向が偏ってしまっている。
はい。これは④のいいところで書きました。えっとですね……とにかく小説家になろうは作品の傾向が非常に偏ってしまっています。
これはランキングを見ると一目瞭然です。
例をあげますと、
デスマーチからはじまる異世界狂想曲
フェアリーテイル・クロニクル ~空気読まない異世界ライフ~
謙虚、堅実をモットーに生きております!
こんな感じです。異世界、チート、奴隷、ハーレムなどといったものに関係しているものが、ランキングが占めています。
これは別に悪いことではないと思います。時代の移り流れ、流行というのは大きく変わります。
そして、僕もこのような作品を小説家になろうの方で書かせてもらっています。
ですが、これではこれから外れる作品は本当にきついです。
ここのサイトでは、日間ランキングというものがあります。
ここのランキングに載ると本当にポイントが伸びて多くの人に見られます。
運がいいと書籍化なんてこともあります。
ただ、このランキング本当にシビアなんです。
まず、この日間ランキングに載ることの条件なんですが。
総合評価計算式
評価合計+(ブックマーク件数×2pt)
更新時から過去24時間の総合評価を元に決定(毎日3回程度更新)
つまり簡単に言いますと、一日に100から200ぐらいのポイントが付かないとランキングに載れないということです。これがどういうことかと言いますと、普段から見られない作品は、もう日間ランキングに載れないと言っているようなものです。
いやいや本当に厳しいですねなろうさん笑。
ですが、ですが。そんなランキングだけが全てではない。
見られない面白い作品だってあるはずだ! そんな作品を探し出すのが今回の企画のようなものです。
さてさて、今回は僕が小説家になろう内でブックマークをしている作品を三つ上げたいと思います。
これで、少しでもその人の力になれれば……と思います。
それでは、まず一つ目!
タイトル
THE WORLD
あらすじ
『過去の経歴は全て抹消済み』
名前と年齢以外の詳細は一切不明。
魔導学園の入学試験を首席で通過した人物『天城総魔』
誰よりも力を求める彼のたどり着く先は…。
URL
http://ncode.syosetu.com/n3747cp/
一言
話数は多いですがとにかくキャラが一人一人魅力的です。
主人公の謎と強さに惹かれました。
まあ、読んでみてください笑。
二つ目。
タイトル
魔法と科学と月の詩
あらすじ
これは魔法を失った少女シエルの物語であり、同時に時代の流れに変わりゆく世界の行く末を描いた物語。 ………… ヴェス国にあるエリート魔法学校を首席卒業したシエル、十八歳。同級生や先生すら馬鹿にしてきた、性格に問題のある少女。だが、その人並み外れた能力から注意する者はほとんどいなかった。 魔法が全て。強い者が勝ち、弱い者が負ける。自分は誰にも劣らない。魔法さえあれば何も必要ない。 そう思っていたシエル。 だが、その手から突然、魔力が失われた。魔法が使えない人間など存在しない。失われた原因はわからない。一気に底辺まで落ち、エリートの道も失った。何もかもを失い、居場所すら見失い始めた。 だが、シエルは再び這い上がるために旅に出る決意をする。無力感と困惑を抱えながら、漠然とした望みにすがって。伝説の力「召喚幻獣」を手に入れるために。 そんな彼女のもとに集まった仲間たち。そして背後に見え隠れする何者かの存在。 行く先々で様々な問題や事件が起こる中、見えてきたのは秘密、裏切り、そして争いだった――。 |
URL
http://ncode.syosetu.com/n8050co/
一言
物語がとてもきれいです。いや、なんと言いますか上品なんですよね。
シエルの葛藤や絶望の中から這い上がること。
そして、争いや裏切りの中でどうなるか? とても期待がもてます。
ぜひ、読んでみてください!
そして最後の三つ目!
タイトル
学校1のゲーマーと学校1の天才が迷い混んだ生き残るためには勉強が必要な世界
あらすじ
学校1のゲーマーと学校1の天才。二人がであったのは、1つのゲームだった。『BSet nukdyyo』という勉強系のRPGだった。5教科のテストの結果によってステータスが決まる。HPは5教科のテストの合計値×2、攻撃は、数学、理科、英語の合計値。といった具合に。そして二人はそのゲームの世界に吸い込まれていった。もとの世界に戻る方法はただひとつ。その世界の魔王を倒すといういかにもRPGといったものだった。そしてゲーマーである南野 瞬はそのゲームで培った作戦により効率よくクリアしていく方法を考え、天才である北岡 萌衣はその頭のよさを生かし、破格のステータスを手にいれたのだ。その二人が協力して魔王に挑むのだ。必ずこちらの世界に帰ってこようと。
URL
http://ncode.syosetu.com/n1255cv/
一言
タイトルはさきほどいった埋もれない作品そうです。
だけど、設定が面白い。それゆえに敬遠されがちですが、中身はしっかりとしており非常に面白いです。勉強でステータスが決まる。自分がやったら全部駄目ですね笑。
面白い作品なので是非!
作者さんがた本当にありがとうございます。このような作品を執筆をしてくださって本当にありがとうございます。
以上が今回の埋もれている作品を探そうの企画でした。
何かあればコメント欄に書き込んでくだされば紹介したいと思います。
それでは今回はこの辺で!
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今回の話題となった小説家になろう。
http://syosetu.com/
そして自分の作品も載せておきます笑。
タイトル
-water online- 転生したら水のゲームの世界だった!?
あらすじ
ある日、川で溺れている少女を助けようと、名賀士郎(ながしろう)は川に飛び込んだ。 しかし、思ったより川は深く名賀は溺れて人生が終わってしまったと確信した。 だが、それは大きな間違いで目を覚めるとそこは……名賀がはまっているゲーム-water online-の世界だった。 名賀はゲームで学んだ知識や経験をいかして、この世界で頑張る物語。水中を舞台としたMMORPGだと思ったら、地上もしっかりでてきます。※ハーレム要素や主人公最強要素もあります。
URL
http://ncode.syosetu.com/n2299cz/
応援の方よろしくお願いします。
私の家族は厳しかった。
父は有名なゲーム会社で働いておりこの『water online』の作成者でもあった。発売当社から爆発的な人気になり、ゲームを多分やらない人でも名前だけなら聞いたことがある。それぐらいの知名度となっていた。母も働いており、両親が家にいないことなど当たり前だと私は思っていた。
さらに、一人っ子だった私はますます孤独の時間が増えていった。
そのなかで両親が私に求めることはとてもレベルが高い。
できなければ……冷たい目で見られ続け黙ってため息をつかれるだけだった。
テストで百点を取っても、習っていた剣道でどれだけいい成績を収めようと、両親が私を見る目は『できて当たり前』と言った感じだった。
何度か私は思った。自分は誰のために生きているのだろうか?
そして、ある日私の家に一人の謎の男が訪ねてきた。風貌はとても整っており、美形と言うべきだろうか? とにかくその銀色の髪がとても印象的だった。その男の名前は……。
「どうも……『黒野創』です! 私はゲーム作りの運営……まあ、システム的な部分が得意と言っておきましょう」
「ほほぉ! どこが見た顔だと思ったら、黒野創……たった一人で倒産寸前のゲーム会社を立て直したというやつか?」
「ふふ……知っているのですか? 私のことを?」
「ゲーム業界なら君は有名だよ! それで私に何のようだ?」
私はそんな会話をたまたま聞いていた。だけど、あの黒野という人からはとてつもない怖さを感じた。
背中から寒気が襲い、今にでも全身が凍えてしまいそうだった。
そして、私と黒野という人の目と目が偶然にも合ってしまったときだった。
ど、どうしよう……。当時、まだ幼かった私はその独特な雰囲気に圧倒されてしまいその場で動けなかった。
「あそこは娘さんですか?」
「ん? ああ……それがどうしたんです?」
「……いえいえ可愛らしい娘さんですね! 本当に……」
どうやらあの人は私のことが気になったらしい。何を考えているのか? 私には黒野という男の人が何を目的として私たちのところにきたか。まだそれは分からなかった。
そして、話はどんどんと進んでいき、あの銀髪の男の人は私たちの家に入り込んできた。
「……そう言えば、私にも預かっている娘がいましてね……名前は『姫崎ソレイユ』って言うんですけどね……」
「姫崎!? まさか、あの姫崎財閥の娘か?」
「あんまり詳しくは言えませんがね」
「なぜ、君がそんなところの娘と……まあいい、その時点で君はいろいろと優秀だな」
「ありがとうございます……その言葉非常に嬉しいです」
姫崎財閥。私は聞いたことがあった。世界的に有名な財閥でよくテレビの提供などで見かける。それほど、一般的の人にも知れ渡っており、大きな財閥であった。
「よければここに連れてきましょうか? そちらの娘さんと友達になれればこちらとしても嬉しい限りです」
「ほぉ……まあ、悪影響を与えることはないであろう」
「それは保証します」
「なら、つれてこい! 別の部屋で二人で遊んでいてもらおう」
ええ! そんなに勝手に決められちゃ困るよ! 私は普段学校でもあまり話さなかった。いや、正確には話せなかった。お父さんには余計な友達を作るなと言われており、それはお母さんにも言われていた。
休み時間も本ばかり読んでいる私にとって、友達というのがどんなものか分からなかった。
そして、気付けば私は別の部屋に誘導され、姫崎財閥の娘さんを待っていた。
ふと、胸に手を当てるととても心臓がバクバクとしており、鼓動がいつもよりも速くなっていることに気がついた。相手はお嬢様。変なことは絶対に言えないし、接し方を間違えてはいけない。
私は、この広い部屋の中で落ち着かず体全体が揺れていた。
どうしよう、どうしよう、どうしよう。
そんなことを思っているときだった。
「あ……」
思わず、私は声が出てしまった。静かに開けられた障子から入ってきた子はとても可愛らしかった。まるで、お人形みたいに。透き通るような白い肌。髪の色は金髪で、パッチリとした瞳に、目の色はとても澄んだ色の青色だった。私より髪の長さは短かったが、とても髪型が似合っており、服装も白のワンピースととても着こなしもよく私とは比べ物にならなかった。
しかも、見た目からしてハーフだろう。に、日本語でいいよね?
「始めまして! 黒野から聞いていると思うけど私の名前は『姫崎ソレイユ』です! 宜しくね!」
「ああ……あ、あの……」
「あなたの名前を教えてくれるかしら?」
「わ、わたしの名前は……遠坂紗理(とおさかさり)……」
「へぇ……可愛らしい名前ね」
「そ、そう……あ、ありがとう」
うう、駄目だ。目の前にはあの姫崎財閥の可愛らしい子。私とは釣り合わない。向こうだって、本当はもうちょっと明るい子を期待していたはず。なのに、現実はこんなに暗くてあまり話せない女の子。
やっぱり私には……。
「でも、サリちゃんって少し呼びにくいな……そうだ! 私のことはソレイユって呼んでくれればいいから……私と同じ感じで呼んでいいかしら?」
「え? べ、別にいいけど」
「それじゃ……どうしようかな?」
ソレイユちゃんは私のあだ名? 一生懸命考えてくれていた。そして、何か閃いたのか手をポンと叩いて私に微笑みながらこう伝えた。
「じゃあさ! シェリー……なんてどうかな? なんかもっと可愛らしいと思うけどな」
「シェリー……」
「……駄目だったかな?」
シェリー。うん、いいと思う。せっかくこんな私のために考えてくれたんだ。
だったら……ここは素直に。
「全然……いいよ! 本当にありがとう」
「あははは、やっと笑顔になったね! やっぱりシェリーちゃんは笑ったほうが可愛いよ!」
「わ、私が? そんな……ソレイユちゃんの方が可愛いよ」
「ううん、シェリーちゃんは何かこう日本の女性の美しさを兼ね備えていると思うよ!」
こんなにも褒められたのは生まれて初めてかもしれない。
私はそんなソレイユちゃんの言葉にとても感激していた。
「私たちはもう友達……ってことでいいよね?」
「本当に私と友達になってくれるの?」
「うん! 私はこうやってシェリーちゃんと出会えて本当に嬉しいよ! これから宜しくね!」
ソレイユちゃんはこちらに手を差し出してきた。
本当に、本当にありがとう。私はそう心の中で強く思いながら、差し出された手に触れてソレイユちゃんとガッチリと握手をした。
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姫崎財閥になぜ黒野という男の人がきた理由。それは、『water online』の作成・運営に携わりたいという内容だった。当然に、お父さんはその話に賛成し、ゲーム会社も全面的に姫崎財閥に情報の提供などに力をいれた。
そして、黒野創という人物はとても優秀だった。たった、数ヶ月で運営管理のトップ『ゲームマスター』にまでにのぼりつめ、ますます『water online』の人気に火をつけることとなった。
父さんも黒野さんを信頼しきっており、片腕的な存在となっていた。
そんななかで私がこの『water online』の世界に入ってしまうこととなった事件が起こってしまった。
それは、ある雨の日のことだった。
私とソレイユちゃんがいつもの部屋で遊んでいるときだった。
「あ……ごめんね、ちょっとトイレにいって来るね」
「うん! 分かった! 待ってるね」
私はごめんと謝りながら、トイレに向かう途中のことだった。
あれ? あれは黒野さんとお父さん? 今日は黒野さん来ないって行ってたのに……。
それに何か二人ともいつもよりも真剣な表情。一体何を話しているんだろう?
私は二人の話の内容が気になり、気付かれないように話を聞くことにした。
「それでは……今日がついに実行日ですね?」
「ああ! 君が作った仮想を超えた『water online』……それを見せてくれ!」
「では……本日の夜に……『遠坂紗理』を実験要員に使用で宜しいですね?」
え? じ、実験!? ど、どういうこと。私には二人が何を言っているのか分からなかった。
何を思っているの、父さん! 私は……どうなってしまうの?
「しかし、本当に宜しいですか? 大切な娘さんなのに……」
「気にするな! もともとはあんなやつ……ただのよその子供だからな」
「……と言いますと?」
「あいつは俺たちの間から生まれた子供じゃない! ただの……養子だよ」
そ、そんな! 私は衝撃的な事実に頭が混乱していた。
話を聞けば聞くほど私は絶望のふちに追いこまれていく。
私はこの遠坂の子供ではない。その事実が私の胸を誰かが掴むような感覚。それほど、精神的にに私を苦しめていた。
お父さんが私を引き取った理由は、お母さんが子供が産めない体のため。
世間的な部分や、今後は何かに役立ってくれればいいというものだけの考えだったらしい。
愛などはないような発言。私はとんでもないことを聞いてしまったと思いながら、ソレイユちゃんの待っている部屋へと戻って行った。
「どうしたの? なんだか表情がさっきよりもどんよりとしているよ?」
「ううん! 何でもないよ! ちょっとお腹が痛かっただけ」
「大丈夫なの?」
「うん……」
この様子だとソレイユちゃんは何も知らないようだ。
私は聞いたことを誰かに話したい気持ちがとてもふくらんでいた。
あらいざらい……誰かに話せれたらどれだけ楽になるだろう。
だけど……このことでソレイユちゃんに無駄な心配をかけるわけにはいかない。
私は必死に恐怖や悲しみを堪えながらソレイユちゃんに笑顔で接し続けた。
そして、ついに夜を迎えた。
ソレイユちゃんはすでに帰っており、私は自分の部屋のなかであることを考えていた。
逃げなければ……そしてこのことを誰かに伝えないと。誰か……頼れる人に。
そんなことを思いながら、私は部屋の扉を静かに開け、脱出できそうな部屋の窓を探した。
絶対に私は実験要員になんかになりたくない!
あの時言っていた内容については分からないが、必ず私にとって過酷な運命が待っている。
だから逃げないと……逃げない……。
「どこにいくのかな? 外は雨が降ってるよ?」
「……! あ、あなたは!」
「さあ……部屋に戻ろう? こんなところにいては寒いよ?」
私にそう言ったのは、黒野創という男だった。
この人だ。この人のせいで……私は!
「どうして……私はあなたの言っていた実験要員にならないと駄目なんですか?」
「……何を言っているのかな?」
「water online……現在、爆発的な人気を誇っているオンラインゲームそして、あなたはそんな仮想の世界を現実に作り出すことに成功した」
だから、私はその世界のテストプレイヤーとして選ばれた。
しかし、まだ開発途中のその世界はいろいろと問題があった。
それは……人が死という状態にならないとその世界に転送が不可能ということだった。
私は誰もいないときに探し出して見た資料を見ていたから分かった。
そして、そのことを目の前の首謀者に伝えるとその場で小さな声で笑い出した。
「……そこまで分かっているのか? なら、話が早い! 少し予定ははやいが死ね!」
「やっぱり! 私を殺すのか!」
「どうせ貴様は誰にも必要とされていない……ならば私の計画のために犠牲になってもらおうか」
すると、黒野は謎の銃を取り出しそれを私に向けて発砲してきた。幸い、剣道をやっていたためか、抜群の反射神経をこの場で披露し、本当にギリギリのところで黒野が放った銃弾をかわした。
銃弾というよりは、泡。それも普通の銃弾よりもかなり速さは遅く、目に見えるぐらいだった。
でも、絶対にあの泡に当たったら、黒野の思い通りのことになる。
そうならないようにかわしながらいけば……どうにか……。
「そいつを抑えろ……ソレイユ!」
「……! そ、そんな!」
私は後ろからがっしりと体を何者かにおさえつけられていた。
力としてはそんなにだったが、私はその自分をおさえつけてる人。
それがあのソレイユちゃんだと言うことが信じられなかった。
どうして? どうしてなの? ソレイユちゃんまで私を裏切るの?
私はそんなことを思いながら、ソレイユちゃんにどうにか私を助けて欲しいと力強く思った。
ただ、そんな思いは届くはずがなくソレイユちゃんは耳元で私にこう言った。
「……ごめんね」
「ふふふ! いいぞ! それでは、ようこそ……『water online』の世界に!」
私はもう抵抗することはなく、黒野が持っている銃から放たれた泡に当たった。
そして、その泡は私を瞬時に包み込み、私はその泡のなかで息ができずに死んだ。
これが、私の過去。そして、あの雷雨の雨の日の悲劇であった。
焼き芋の創作サイト
http://yamasaki.yu-nagi.com/
あの赤い雨との戦いから一週間がたった。俺たちは、その間に次の目指す場所の行くための計画を練っていた。
ちなみに、次に目指す場所の名前は『セルナイフ』と呼ばれているところで、アポカリプス同様に大都市らしい。ただ、さまざまな問題があるようで……。
「それで、『セルナイフ』についてなんだけど……何か知っている人はいるのか?」
「……それはノイワールが知っている」
「シェリーの言う通り俺はこの街について知っている……ここは、とても治安が悪くて問題プレイヤーによる『PK』そして、街の中に多数のモンスターも目撃されているらしい……怖えところだ」
セルナイフか。俺がゲームでやっていたときも治安がいいとは思えなかった。赤い雨と匹敵するぐらいの悪いやつはたくさんいて、そこで危ない取引や詐欺行為などといった犯罪行為が、数々行われていたという情報があった。それに、街の中にモンスター? ふん……笑えないなそれは。
通常は街の中にモンスターが入ってくるなんてことありえない。やはり、この世界は何かがおかしい。ゲーム通りとはいかないわけか。
セルナイフ……また何かが起こる気がしてならない。
「セルナイフに商人として、行ったときは死にそうだった……もともと戦う力がない俺にとっては、まさに地獄のような場所だからな」
「ひ、ひぃ……なんか怖いよ! シロウ……」
エリザは泣き顔で俺の袖を、掴みながらとてもその掴んでいる小さな手が震えていた。今までの話を聞いたらそりゃエリザには少し荷が重いか。
俺だってセルナイフには正直行きたくない。だが……俺たちは行かなかければ行けない理由がある。
二つ目のカケラ、『赤のカケラ』を手に入れるために。それに今回は、前回のように人からは手に入れない。自分たちで水の中に潜り、カケラを手に入らなければならない。
そこまで行くには十分な酸素ゲージに、モンスターに対抗するためにレベルや装備品などをしっかりしなければならないな。
そして、万が一プレイヤーと戦闘することになったら……精神面も重要になってくる。
「とにかくよ! シロウとシェリーの力は前回で強大なものだと分かった……特にシロウには驚かされてよ! お前がいれば『セルナイフ』だって怖くないと思えたんだ!」
「そんなに褒めないでくださいよ……俺だってまだまだなんですから……」
俺はノイワールさんの言葉を否定するようにこう言った。この前の戦い。俺はあのアカギに負けていてもおかしくなかった。エリザの祈りの力……これがなければ俺たちこの場にいなかった。
そうだ! あのときのエリザの力が使えれば……。
「エリザ! お前がアカギとの戦いのとき使った『祈りの力』それは一体何だったんだ?」
「……それが分からないの……私はあのときシロウがやられてしまうかもしれないから必死に両手を合わせて祈っただけなの……そしたら……」
エリザの話からすると、何か特殊な魔法でもスキルでもない。本当にあのとき何が起こったんだ? ゲームシステムをこえた何かが起こったというわけか? そんなことは通常はありえない。
そう……通常のゲームの世界なら。
「どうやら、俺たちがまだしらないこともあるようだな……でも、エリザちゃんのその祈りは間違いなくシロウに届いたからいいんじゃないか?」
「……うう、なんか恥ずかしい」
エリザは表情を少し赤くして下をうつむいてしまった。エリザは意外にも恥ずかしがり屋なのか? 俺がそんなことを思っているそのときだった。
ガタン! と椅子から立ち上がる音がこの部屋を支配した。その音を出したやつの正体は……あの無愛想剣士だった。
「……何が祈りですか? そんなものこの前がたまたまだっただけ……そんな可能性の低いものに頼っていてはいつまでたっても強くなりませんよ?」
「おいおい? 俺は別にエリザの祈りの力は過信してはいない! 俺自身強くならないといけないと思ってる!」
「どうですかね……? どちらにしろこのままじゃあなたは死ぬ!」
「ちょっと! シェリーさん少し言い過ぎじゃないですか? それにあのとき……私がこの祈るという行動をさせたのはシェリーさんの言葉ですよ!」
なに? それはどういうことだ? 俺はそのエリザの発言を聞いて、驚きを隠せなかった。あのシェリーがエリザに何を言ったのかは分からないが、エリザはシェリーに何か言われて、祈るという行動までした。それが本当なら……いろいろと混乱するぞ俺。
「あのときは自分の命も危なかった……だからあんなことを言ったまでです!」
「うそですね! 私には本気で言っているように聞こえましたよ!」
いつ間にかエリザとシェリーが喧嘩をしてしまっていた。ノイワールさんの方を見るとどうすればいいか。そんなことを思いながら、おどおどしていた。それは顔と行動を見て俺はすぐに分かった。ということは……俺がなんとかしないと駄目なのね。
やれやれ……セルナイフに行く前に、これでは先が思いやられる。
それにシェリーの発言はいただけないな。俺だってこの前の戦いで、アカギから学んだことがある。
それは、誰かのために戦うということは素晴らしいことだと。そして、そういうときに発揮される本当の力は。
俺は言い争っているシェリーとエリザを割り切りようにこう言った。
「お前たちの言い分はよく分かった! だけど、シェリー! お前は俺をこのまこのままだと死ぬと言ったな? その言葉……俺に勝ってから言え!」
「……と、言いますと?」
俺のこの発言にエリザは完全に沈黙し、シェリーは俺のほうを見ながら少し睨みながらこんなことを言った。
なるほど……これはちょうどいい。
一回こいつとはデュエルをしてみたかった。本気のな。
だから、シェリーが感情的になっている機会などそうはない。これは少ないチャンスだと思って、俺はシェリーに……。
「デュエルを申し込む! いいだろ?」
「……なるほど、そうですね……いいでしょう! あなたは私には勝てない、それを結果で証明してみせます!」
きたきた! 俺は心の中でそう思いながらシェリーとのデュエルが決定された。
他の話はこちらにあります
焼き芋の創作サイト
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アカギを倒したその後、俺たちは始まりの宮殿から出るとたくさんの人が迎えてくれていた。
どうやらみんな赤い雨を倒してくれたくれたことに感謝しているようだった。俺たちはこのアポカリプスの英雄として称えられた。
「よくやってくれたな……まったくお前は大したやつだよ!」
「いてて……そんなに頭を撫でないでくださいよ……恥ずかしいですよ」
「ノイワールさんたちも大丈夫だったんですか?」
「少しの仲間はやられたけどな……まあ、転移した先から戻ってくるまでの辛抱だ……それよりも今日は『赤い雨解散記念』パーティーを開くぞ!」
「うわ! やった! 何かご馳走を作るんですか?」
「任せろ! 俺が腕をふるって作ってやるからな! 期待していろよ」
この人の集まりの中で待っていたノイワールさんは俺のことを、我が子のように褒めてくれた。手荒い祝福だったが、俺はこんなにも褒められたのはいつ以来だろう?
思えば成長にするにつれて、親に褒められることなどなかった。淡々とした毎日を送っていた。だけど……この瞬間は久しぶりに生きているという実感が湧いた気がする。
濃密な時間というべきか? とにかく俺にとってこの瞬間は……幸せだ。
俺はこの幸せな時間を実感しながら、たくさんの人が迎えてくれているこの道を歩いた。
ここは仮想の世界かもしれない。
だけど、現実よりずっと楽しく、みんなが幸せを共有できる素晴らしい場所だと感じる俺だった。
だけど、あのアカギの家族の話で俺は思い出した。俺にも家族がいるということに。家族は俺が死んでしまい悲しんでいるかもしれない。いや、自分の子供が死んで悲しまない親などいない。
もし……この世界を出られる方法が見つかったらなら、俺はその方法に従って元の世界に帰らなければいけない。
俺を待ってくれている人のために。必ず……。
「どうしたの? シロウ! はやく帰ろうよ!」
「……あなたがこないと始まらない」
「来なよ! よ! 英雄さんよ!」
でも、しばらくはこの世界にいることにしよう。
俺はそんなことを思いながら、俺を待ってくれている三人の元へ走っていくのであった。
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「それじゃ! 『赤い雨解散記念』ということで乾杯!」
「乾杯!」
「ああ、乾杯!」
「……乾杯だな」
俺たちはノイワールさんの店で予告通りにパーティーを開いていた。
俺、エリザ、シェリー、ノイワールさんでイスに座っていた。
とてもきれいなテーブルの上にはたくさんのご馳走が並んでいた。
「うわ……本当にすごいご馳走ですね」
「そりゃ! 腕をふるったんだからな! 当たり前だ!」
「まずはこの魚の料理を食べていいですか?」
「お! それに目をつけるとはエリザちゃんもやるな! それは魚のパイ包みと言って……」
エリザとノイワールさんはとても仲良くやっているようでよかった。それにしても、俺もこの料理はとても美味しそうだと感じた。匂いがとてもいい。
エリザの目が輝いているのがいい証拠だ。これは本当にご馳走だ。
俺は口の中に唾液をためながら、気になった料理に手をつけようとした。
だが、そのときだった。俺は忘れていたこの何も感情のない剣士がいることに。
「あ! お前もうそんなに食べたのかよ……」
「何かまずいか?」
「いや、俺もその肉料理が食べたかったのに! 少しは残しとけよ!」
俺は食べようとしていた肉料理がシェリーにもうすでに半分以上食べられてしまったいたのだ。
こいつには人を想う気持ちがないのか? いや、ただ単に無神経なだけかも。
「それはすまんな……ただ食事というのは戦いだ! いかに速く食うのかが秘訣だ」
「お前な……まあいいや、別のを食べることにするか」
あのときのアカギの言っていたことを思い出し俺はこれ以上は強く言わないことにした。
きっとこいつは過去に何かあったのだろう。捨てられた、それがこいつを変えてしまったのかもしれない。
みんなそれぞれ問題や、不安を自分の心の中に気づかぬうちに抱えている。
それは自分だけではどうしようもできないときがある。だから、仲間と協力し助け合う。
それが一番の解決方法だと思う。
「どうした? そんなに私を見つめて?」
「いや……何でもないさ! 今日はいろいろあって疲れたと思ってな」
「……そうか、そう言えばあなたに渡しておきたいものがある」
「ん? 俺に?」
「そう……今日のお礼と言っては少し物足りないないのかもしれないが、今後あなたにとって役立つものだろう」
すると、シェリーはステータス画面を開き、どうやらアイテムイベントリを開いているようだ。そして、しばらくすると俺のステータス画面が光りだした。なんとそこには短剣の一つである
『雷剣』(サラマンダー)が俺のアイテムイベントリにあったのだ。
サラマンダーは雷属性のなかでもかなりの上位の武器。この武器を扱えるのはプレイヤーの中でも極少数だった。
「サラマンダーって……おい! こんなんもらってもいいのか?」
「私にこの武器は扱えない、それに今日の戦いを見てあなたは雷属性に適性をあると感じた」
確かにあの新しく取得したスキルの属性は雷。それにあのとき俺は、まるで雷が体に馴染むような感覚だった。
シェリーの言う通り、俺の得意属性は雷なのかもしれない。
これからもっと強い強敵と戦うにあたって、武器は非常に重要。ただ、強いだけじゃ駄目だ。自分にあった武器を使わなければいつまでたっても強くはならない。
「分かった、お前のその贈り物……受け取っておくよ」
「そうか、あなたなら必ず使いこなせる」
「それはそうとお前は料理を食べすぎだ! いい加減にしろ!」
「あっちも盛り上がってるな!」
「そうだね!」
「よーし! 今日は徹夜だ! 盛り上がっていこうぜ!」
この祝勝会は結局朝まで続いた。
俺はヘトヘトになって、エリザやノイワールさんはテーブルに顔をつけて眠ってしまっていた。
そして、シェリーも気付いたら壁に寄りかかり静かな寝息で眠っていた。
俺も寝るか。睡眠は……重要だからな。俺は意識がもうろうのなかで、ひとみを閉じて眠りについた。
他の話はこちらにあります
焼き芋の創作サイト
http://yamasaki.yu-nagi.com/
「やった……やったぞ! 俺は勝った!」
「すごい! 本当に勝っちゃうなんて……やっぱりシロウはすごいよ」
「まったく世話のかかる人だ! だけど、本当によくやってくれたな」 それにしても、本当によく勝った。
「シロウ! 本当に勝ったんだね! 本当に……本当に!」
死闘の戦いだった。一度は死んだ俺が復活して再び打ち破った。
これは紛れもない奇跡と言えるだろう。俺は相手のステータス画面を確認すると、赤色となっており、後は俺がコマンドの『転移』を選択するだけの状態だった。
そして、俺はアカギの敗北によって周りの水がなくなっていくことに気が付いた。今度はあの水を出したライオンの置物が、水を吸い込み瞬く間にこの場の水はなくなった。
もう少しで酸素ゲージも尽きるところだった。危なかったな。
あのアカギの魔法から解放されたエリザはまっさきに俺に駆け寄ってきた。とても、心を踊らせるように喜びながら俺に抱きついてきた。
ひまわりのように明るいと言った方がよいか? とにかくさきほどのエリザとは違って、いつものエリザが戻ったような感じでした。
「……よくやってくれた、感謝している」
「ああ……なんとかだけどな」
「私はあのときあなたは負けると思っていた、私も倒せない相手があなたに倒せるはずがない……そう思っていた」
そんなことを思っていたのか。確かにシェリーの言う通りだ。俺にはまだアカギという男に挑むのははやすぎた。
今回だって、エリザがいなかったら死んでいた。だから、シェリーの言うことは間違ってはいなかった。
「ただ、あなたは私の想像以上の実力を本番で発揮してくれた……そして、こんな裏切り者の私のために戦ってくれた……」
「何を言っているんだ? さっきも言っただろう……お前は昔の自分を変えたくて、今ここにいるんだろ? だったらそれでいいじゃないか! お前はもう赤い雨じゃない! 俺たちの仲間だ!」
「う……そうか、あ、あり……」
「あ? あり?」
「な、なんでもない!」
「そうか? それならいいんだけどな」
俺はシェリーの方を見ると若干表情が赤くなっていることに気付いた。何を恥ずかしがっているのか分からなかったが、俺はこれ以上はシェリーには何も言わなかった。
そして、俺は少し離れたところで倒れこんでいるアカギに近づいて行った。
「……負けたのか」
「ああ、一度は俺もあんたに負けた……引き分けといったところだろうな」
「ばかやろう……最終的にこのフィールドに立っていたやつが勝者なんだよ! お前もそれは分かっているだろう?」
アカギは今にもかすれそうな声で俺にこう問いかけた。
デュエルは最終的には立っていたやつの勝利だ。俺はそんなことを思いながら、倒れこんでいるアカギにあのときの約束の話を持ちかけた。
「さてと……約束通り、ギルド赤い雨の解散……そしてお前たちが持っている『青いカケラ』を渡してもらおうか」
「たく……倒れている相手に追い討ちをかけるな」
「それでもあんたほどの鬼畜じゃないことは確かだと思うが?」
「それもそうだな……ほら、これが一つ目のカケラ『青いカケラ』だ」
すると、アカギはゆっくりとステータス画面を開き操作していた。そして、しばらくすると俺のアイテムインベントリにアカギからアイテムが届いた。それは、とてもキラキラと輝いており見ているだけで、心が奪われそうなほどにその青いカケラは素晴らしいものだった。
すごい……今まで見てきたどんな宝石よりもきれいだ。ゲームでは青いカケラなんていくつも手に入れたが、やっぱり自分の目の前にあるとこんなにも違うものなのか。
俺はそんな青いカケラに感動していると、後ろにいたエリザもこの輝きに感動しており、触らせてなど言ってきた。騒々しいな……まあ、女子はこういうものには目がないものか。
「……これが青いカケラ! 食えるのか?」
「は? いや、カケラなんですけど」
一人訳の分からないやつがいるけどな。
そして、アイテムである青いカケラを受け取った後、アカギはついに自分がここまで作り上げた『赤い雨』を解散するようだ。
「まさか……このギルドを解散するときがくるなんてな」
「……それは仕方がない、自業自得だろ?」
「ふん! それもそうか……」
アカギは少し笑いながらステータス画面の中からギルドのメニュー欄を開いた。
そして、ゆっくりととした手つきでギルドの解散手続きをしていった。
最後に『本当に解散しますか?』というところで、一瞬だけその手が止まったがアカギはその場で少し息をついてから、『解散』を指先でタッチした。
「……なに? この音?」
「鐘の音か? 方向からしてギルド本部のようだが……」
しばらくこの部屋に謎の鐘の音が響いていた。
ゴーン、ゴーンというような鐘の音は、とても印象的で何が起こっているか分からなかった。
その鐘の音がこうこうと響くなかで、アカギは静かに俺たちにこう説明した。
「これは俺たちの『赤い雨』の解散の合図みたいなものだ……仲間たちに解散したということを伝えるため……そして、俺と一緒に暮らしている家族に俺の死を伝えるためだ」
「家族!? あんたこの世界に家族もいたのかよ!」
「そ、そんな……でも一体どうしてですか?」
「どうせ、最後だ……お前たちに話してやるとするか」
すると、アカギは俺たちに最後ということで家族のことを話し始めた。
「俺たちは三人家族でとても幸せな生活を送っていた……ただ、ある日俺は務めていた会社をクビになった」
「でも、それでも諦めなければ……」
「俺も最初はそうすれば必ず救いの手が俺たちを助けてくれると思っていた……だけど、世間は俺の想像以上に冷たかった! 俺にはもう生きる気力がなくなっていた」
そして、このアカギから話されたその後の内容は会社をクビになった後は、就職先を転々としており人間関係などで会社をやめてしまうことがほとんどだったらしい。
それからというものの、パチンコや酒に溺れる日々で家族には迷惑しかかけていないという話しだった。
俺たちはそんなアカギの話を黙り込んで聞いていた。
シェリーはこのアカギの秘密を知らなかったらしい。
そして、エリザはどこか悲しげな表情でそんなアカギを見ていた。
「金もなくなり、借金を作っていた俺は毎日家にヤクザが家に押しかけてきてよ……ある日、俺から家族は離れていってしまった……最後の言葉は『元気でね』だったけな」
聞いているだけで俺はつらい気持ちになった。このアカギという男にこんな過去があったなんてな。
かなりこの仮想の世界では現実的な話。
この男は俺以上に背負っているものがあったんだ。
「全てを失った俺は……雨の日川に飛び込んで死んだ……ただ、そのはずみかは分からないが、この世界に来たというわけだ……そして、今度こそ俺は絶対にこんなことにならないように力だけを求めて……同じ境遇のやつらを集めて『赤い雨』というギルドを作ったというわけだ」
「じゃあ……シェリーさんも」
「……そうだ、私も両親に捨てられたという過去だった……あれは激しい雷雨の日だったか? まあいい……もう私は昔のことなど気にしていない」
赤い雨というギルド。それは今まで完全なる悪のギルドだと俺は思っていた。ただ、アカギという男はこの世界にいる家族にギルドで稼いだお金の一部は養育費代わりとしてかかせずおくっていたらしい。
それも、匿名で……今までさんざん迷惑かけた償いとして。そして、自分は悪に染まり家族には迷惑をかけずにいたらしい。くそ……なんていい男だよ。
確かにやり方としては間違っていると思う。他の人に迷惑をかけたりするのもどうかと思う。
だけど、俺がもしこのアカギと同じ状況になってどうするだろうな?
考えられない。
そして、シェリーがなぜこの赤い雨というギルドの一員になったのか。今なら分かる気がするぜ。
「さぁ……俺を『転移』させてこの世界から抹殺しろ!」
「本当にいいのか? あんたの家族はどうする?」
「きっと俺がいなくても幸せにやっているだろう……それに俺は約束は守る男だからな……」
「……最初の相手があんたでよかった、いろいろと学ばせてもらった」
「ふん……それはよかったな……最後に俺の家族に会いたかったら、そこの街に行けよ……お前のメッセージボックスに送っといてやる」
俺はアカギから最後の手土産である家族の住所を教えてもらった。
メッセージボックスにはアカギの家族がいる街の名前や地理情報などが細かく書かれていた。
そして、最後にアカギは俺に対してこう言った。
「最後にお前は必ず強くなる……そして必ずカケラを集めろ」
「……言われなくてもそのつもりだ」
「それじゃそろそろ……『転移』のコマンドをタッチしろよ」
俺はアカギのその言葉てステータス画面から『転移』をタッチした。
そして、アカギは最後笑いながら赤い光とともにこの場から消えていった。
こうして、赤い雨との戦いは終了した。
俺はこのアカギという男から学んだことを忘れないように……しっかりと胸に刻みたいと思った。
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