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なんだこのあたたかいものは?
俺は意識がもうろうのなかでこの場にはありえないものを感じた。それはこのあたたかさだ。
全ての神経を弛緩させ、わずかな水の流れの中にゆったりと身を任せる。
抵抗する力も残っていなく、俺はそのあたたかいものに体を任せた。
「……! なんだこれは?」
「どういうことだ? 一体何が起こっている?」
しかし、そのあたたかいものは俺の気のせいではなかった。その正体は光? このきれいな緑の光が俺を包み込んでいるのか?
その光は優しく俺を包んでいく。こんなの俺の知識のなかではないものだったため、何が起こっているのか俺でも分からなかった。
目の前のアカギも俺を包みこんでいる光に動揺しているようだ。あまりの眩しさにアカギはその場で動けないでいた。この光が何なのか、どこからあらわれているのかは分からない。
だが、これはチャンスだ。さきほどのどんよりとした感覚が嘘のように俺の体は軽かった。
そして、絶望による恐怖もなく、体中が綿のように軽くとても心地のよい状態だった。
そうか……この光はエリザか。
俺は初めてエリザに会ったときから感じていたことがあった。それはエリザから感じたあたたかさだった。抽象的なものだが、俺はこのあたたかさに惹かれていたようだ。
エリザといると俺までも心があたたかくなる。そんなやつだった。
きっとこの状況にエリザだって俺の力になりたいと思っていただろう。
そして、あのバブルの中でこんな俺のことを助けようと必死で祈っている。
その祈りがこの光を出現させたのか。こんなの通常のゲームじゃありえない。そして、俺も初めて体験することだった。
エリザ、今の俺の気持ちは一つだ。聞こえていたら嬉しいけどこの場で言っておく。
ありがとう……と。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
「な、なんだと! HPが回復……いや、『死亡』の状態から復活しているだと?」
俺のステータス画面の表示が赤から青色に変わった。これは死の状態から復活したということを意味していた。通常は蘇生アイテムや蘇生魔法を使わなければいけない。ただ、エリザの祈りが俺を復活させて、絶望的な状況から一転させたのである。
感じる……まるで全力疾走しているときみたいに胸が熱くなり、さきほどよりも体全体に力を感じた。
そして、HPが全快しているときには完全に俺は意識を取り戻し、さきほどよりも自信に満ち溢れる目でアカギを見つめていた。
ここまでこれたのも、苦しみながらも他人である俺のことを思ってくれたエリザのおかげだ。
常に変わることなく勇気を与えてくれた。エリザには俺はどれだけ感謝しなければいいか分からない。
だから、今度は言葉じゃなくて行動で示す!
それが今の俺がなすべきことだ!
「強力な回復魔法を隠し持っていたのか? いや、こんなこと……は? まさか! あの小娘か」
「気付いたのか?」
「俺としたことが完全にうかつだったな」
「俺たちの絆の力をなめないほうがいい……そして、あんたは生まれ変わった俺に負けることとなる」
「何を言うか! そんなこと言うのは俺のHPを0にしてから言え!」
再び俺とアカギのデュエルが開始された。
さきほどよりも剣と剣がぶつかりあう速度も速まり激しさも増した。
レベルもステータスも装備も変わっていない。新しく取得した魔法もない。なのに、さっきよりもアカギの攻撃を見極められる。
さらに、あの一撃が重かったアカギの大剣による攻撃も簡単に受け止められた。
「な、何が起こっている?」
「残念だな……お前の攻撃はもう俺には通用しない」
「まさかそれもこの光の影響と言うのか? ぐ……仕方がない」
すると、アカギはさきほどと同じように俺と距離をとった。
これは、そうかあれを再び使うのか。
一度は俺を負かせた魔法である<神水>(アポカリプス)名前の通りこの街における最強の魔法。
あれを二回も使えるということはやはりあいつはトッププレイヤーの魔術師。それは認めざる得ない。
ただ、今の俺はさっきの俺とは一味違う。祈りの力を授かった。
今ならあの魔法も受け止められる、いや相殺できる自信がある。
「ここまで俺を楽しませたやつはお前が初めてだ……本当に惜しい男だ」
「あんたこそ反則級の強さだぜ……あんたがもし正義のためにその力を使ってるんだったらいい戦友になれたんだけどな」
「お互い勿体無いということだ……さぁ! 遊びはこの辺で終わりとしよう! <神水>(アポカリプス)!」
アカギが迫力のある声でこう唱えると俺の周りに無数の槍があらわれた。先ほどと同じだ。これらはかわしていては間に合わない。槍が俺に追いつくまでに相殺……弾き飛ばすほどの速さと威力のある技が必要だ。
俺は持っているカーナベルを握り締めた。
そして、俺も切り札の武器スキルであるあれを唱えた。
「<海の嵐>(ウォーターサイクロン)」
「やはり、そうきたか! だがその程度の魔法では俺の神水によって作られた槍の速さには追いつけないし、威力も足りないと思うぞ?」
確かにそうだ。こいつの作り出した槍に対抗するためには、もっと強い魔法が必要だ。だが、さっきと同じものと思ってもらっては困る。
これが、生まれ変わった俺のウォーターサイクロンだ!
俺の唱えたウォーターサイクロンは激しく渦を巻いていた。渦潮といった方がよいのだろうか、地上と違い水中ではこの魔法は威力を発揮していた。
そして、驚くことにアカギの唱えた魔法によって作り出された無数の槍は俺に当たることなく、全て弾き飛ばしてしまった。
「はぁ……? 俺の魔法がそんなに簡単に破られただと?」
「海の嵐の前では最強魔法によって作られた槍も無意味だったようだな」
「ばかな……こんなことありえない」
「形勢逆転かな? 今度はお前が追い詰められたな」
とは言っても残りの酸素ゲージも少なくなってきた。これ以上の長期戦はまずい。
そう言えば最初は疲れを感じなかったが、精神的にも肉体的にも疲れを感じてきた。
きっとここまでの戦いによるアカギの行為と慣れない水中での戦闘による影響だろう。
そして、俺は剣を構えるとあることに気付いた。ステータス画面が黄色く光っており何ごとかと思ってみて見た。すると、そこには<新スキルを取得しました>と表示されていた。
それを見た瞬間に俺は勝ちを確信した。
これは、俺にとっての朗報。そして、あいつにとっての悲報。
この新しく取得したスキルで決めてやる! あいつのギルドも悪事もこれで終わりだ。
俺は一気にその場から加速してアカギに突っ込んで行った。
正面から何も小細工はなく、俺はおびえることもせずに突っ込んで行った。
「ばかな……あんな真正面から行くなんて」
「シロウ……お願い!」
「何を考えている……いやこれはむちゃくちゃな行動ではない! 勝ちという確信があるからこのような……」
「終わりだ! これで今までのお返しをするぜ……<青龍の雷>(ドラゴンサンダー)!」
新スキルドラゴンサンダー。強力な雷による攻撃魔法であり、自身の装備武器にも雷属性が投与されるというものだった。そして、それは空を上る龍の雷のようだった。
唱えられた瞬間に雷はアカギに瞬時に向かっていき、それについていくように俺も雷属性が投与されたこのカーナベルで何回も斬りつけた。
雷による影響なのか? アカギは動きを止めて何も抵抗することなくただ俺の攻撃を受け続けた。
「これでラストォォォォ!」
「ぐ! ぐぉぉぉぉぉぉ!」
最後の一撃。これによってアカギのHPは0となった。
ついに俺は見事な大逆転勝利であの赤い雨のリーダーアカギに勝った。
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不安と恐怖と絶望で首まで心臓が飛び上がったように息苦しい。
俺の体に鉛が含まれているかのように重く苦痛なものだった。
そうか、俺は……あいつに負けたのか?
あの強烈な攻撃をまともに受けてしまったからだ。まさか、神水まで扱えるやつとは思わなかった。
実力が、実力が違い過ぎた。
「どうだ? 敗北の味は?」
「ぐ……なんで俺はすぐに消えない? HPが0になった瞬間に敗北は決定してるだろ?」
「これはあくまでデュエル、そして俺が主催したデュエルであるためステータス画面の『転移』というコマンドを押すまでデュエルは終わらない」
「相変わらずいじわるだな……苦しむ俺の姿をそんなに見たいか?」
「いやいや、敗北をしたとはいえお前のような人材を失うのは痛い……それで、こんな条件があるんだがどうだ?」
アカギは俺を見ながらばかにしたように鼻で笑いながらこんなことを言ってきた。
明らかに足元を見られているがこんな状況では仕方がない。俺は、仕方なくそのアカギの条件を聞くことにした。
「この<復活の草>(エリクサー)でお前をHP0の状態から救ってやる」
「エリクサーだと……それは超レアアイテムなのになんで持っている?」
「まあ、それは言えないがな……それよりもどうする? もし、エリクサーを使って欲しかったら、今すぐあいつらをお前の手で殺せ」
「は? お前なに言ってんだ?」
俺は自分でも声が怒りに震えるのを抑えきれなかった。なめてる、なめてやがる。
こいつは優しくもないし、俺と同じ人間と思いたくない。残酷、残虐的で卑怯者だ。俺はこの二人を助けるためにこいつとの戦いに挑んだのに、これでは目的がバラバラになってしまう。
俺は自分が助かりたいんじゃない。二人を助けたかったんだ。
あのときだって俺は川で溺れている少女をまっさきに助けに行った。自分でもなんでか分からなかったけど、俺のなかで助けなきゃいけないと思ったから体が動いてしまったのだと思う。
正義の味方と言われればそうかもしれないが、誰も助けなかったから俺が助けただけだ。
あのとき俺が動かなくても誰かが動いてくれたのかもしれない。
そうなればその人が正義の味方だ。俺よりいい結果になったかもしれない。
「そのままの意味だが?」
「そ、そんなの……ひどいよ!」
「……相変わらずひどいやつだ、この外道者が!」
「部外者は黙っててもらおうか! さぁ……お前はどうする?」
このまま条件をのまなかったら俺も含めて全員死んでしまう。ただ、こいつの言う通りにしてしまったら俺は助かっても……エリザやシェリーはどうなってしまうんだ。
こんなの決められるわけないだろ。
心理的な重圧にじっと耐えているような息苦しい表情。それが今の自分の表情だと俺は感じた。
どっちを選んでも待っているのは絶望。駄目だ……こんなの決められるわけがない。
考えれば考えるほど、俺はどんどんと深みにはまってしまいアカギの選択に答えることができなかった。
今まで俺はこんな選択などしたことがなかった。
だから、こんなに速く決められるはずがなかった。せめて時間があれば……いや、それでもこれは簡単に決められる問題ではない。
「どうした? 決められないのか?」
「こんなの決められるはずがないだろ」
「せっかくお前にチャンスをあげたの情けない……じゃあ迷いながら死んでもらおうか」
アカギは哀れっぽい表情で俺を見ながらステータス画面を見つめていた。
きっと『転移』のコマンドを押すのだろうか? 俺は終わりを確信してその場で目を閉じてしまった。
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「どうすればいいの? 私は?」
シロウの力になりたい。その気持ちで私はここにいる。なのに……こんな罠にはまってしまってシロウに迷惑をかけてしまった。こんなのシロウの足手まといになっているだけじゃない。
この世界に来る前からもそうだった。私はなんとか両親に役立ちたいと思っていろいろとがんばっていた。
殴られて、どんなにひどいことをされても私は笑顔でこう言った。
大丈夫とごめんねと。そんな甘い気持ちが今の状況を引き起こしてしまった。
私のせいでシロウを困らせてしまった。
ごめん、本当にごめんね。
胸に悲しみが満ち満ちる。どうすることもできない悲しみ。
自分の力のなさに、シロウの役に立てなかったこと。そして、この世界でも自分は役立たずということ。
さまざまな事実が私の胸をしめつけるように苦しめていた。
悲しさが心の底から湧き出る。同時に自分の両目から涙を感じた。
また、私は泣いてしまった。どうして? どうして泣いてしまうの? 死んでしまうから……ううん、これはシロウが死んでしまうから。
せっかくできた大切な人、シロウは私にとって家族みたいな人だったのに。
そんな大切な家族が失われてしまう。そんなのもう嫌だよ……。
孤独感が私を襲った。もうどうすることもできなかった。
こんな絶望の中で私は何もすることができないのか?
そんなことを思っているときだった。
「……諦めるな! エリザだったか?」
「その声は……シェリーさん?」
声をかけてきてくれたのはシェリーさんだった。比較的近い距離だったため、話すことは容易だった。
ただ、私はシェリーさんとは話すことがなかったため、あんまり話さなかったがここでシェリーさんが私にこんなことを言ってきた。
諦めるな……と。一体何を意味しているのだろうか?
「こんなときにお前がしっかりしないとどうする? 主人がピンチのときにも諦めず全力でサポートする……それが仲間じゃないのか?」
「そ、そんなこと言われましても……今の私は何もできませんし」
「戦う前、私は正直あの人がアカギに勝つことなど不可能だと感じていた」
「え?」
意外な発言がシェリーさんの口から聞いてしまった。私はびっくりして目が丸くなり、驚きのあまり言葉がしばらくでてこなかった。
そんななかでもシェリーさんは私に言葉を続けた。
「赤い雨のもと団員として私は迷っていたかもしれない、本当はまだ……」
「やめてください!」
「……どうした、急に声を張り上げて」
そこでしばらく沈黙した。そして今までに語ったものごとが私の頭が落ち着くのを待った。それから再び話を続けた。
伝えたいことはただ一つ。
「何を言ってもシェリーさんは私たちの仲間です! それはどんなことが分かっても覆りません」
「……そうか、私が悪かった」
「でも、ありがとうございます……シェリーさんのおかげで勇気をもらえました」
シェリーさんが言った通り諦めちゃ駄目だ。何があっても私はシロウに元気を与えなくちゃいけない。
それが私の役目であり、今の私にできること。
そう思って私は心から祈った。お日さまに照らされたみたいに気持ちがあったかくなる。私はこの寒い水の中でもこのような気持ちでシロウに向けて祈り続けた。
お願い……シロウに力を与えてください。私たちのためにがんばっているシロウのためになんとかお願いします。私は神様に祈るように言葉を続けた。
シロウ頑張って。そして必ず勝ってね!
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俺とアカギの一対一のバトルがついに始まった。俺にとってこの世界に来てからの水中での戦いは初めてだった。だから、まずは相手の動きを見ながらこの水中戦に慣れるしかない。
「さてと……俺の攻撃についていけるかな?」
「ついていけるかじゃない……俺はお前の攻撃についていかなければ死ぬからな!」
「ほぉ? それは確かにそうだな!」
俺のレベルが31、そしてアカギのレベルが40といったところか。ステータスを見る限り俺より少し高いと言ったところか? いやにこいつのレベルが低いのが気になるが……これぐらいのレベルの差ならいける。
後は装備品だ。見た感じは大剣と言ったところか……武器の名前はこの辺で出現するモンスターの武器。
大した武器ではないし、武器スキルもない武器だ。防具もいたって平均的なもの。
こんなやつがこの赤い雨のリーダーなのか?
いやいや、ステータスの強さだけがこの世界の全てではない。
顔と顔があうこの状況で、相手の顔の見えなかったゲームとは違う。経験や運動能力なども考慮する必要がある。そして、左上に表示されている酸素ゲージにも気をつけなければ……。
そして、そんなことを考えているうちにアカギが勢いよくこちらに迫ってきた。大きな剣を俺に向かって振りかざしてきた。この一撃をくらってはかなりのダメージを受けてしまう。それほど、アカギの攻撃は速くてその証拠に、俺は自分の顔に風を感じた。
水中で動きにくい中で俺はアカギの攻撃を防ぐために、俺の武器であるカーナベルで受け止めた。
水の中でも金属音が響き渡り、剣と剣が水の中で火花を散らして交錯する。
俺とアカギの攻撃はそれほど激しいものだった。
「ほぉ……やるな」
「あんたこそな……なんでそんな平凡な武器でこんな攻撃ができる」
「レベルの差があるなかで俺の攻撃を受け止めたお前も見事だな……だが!」
鍔迫り合いの中でアカギは口元で何かをつぶやいた。俺はやばいと心の中で感じて距離をとろうとしたが、アカギのその行動が一歩速かった。
つぶやいた内容は魔法名である。そして、俺の目の前に水のドラゴンが現れた。
「<破滅の水龍(エリュシオン)>」
「エリュシオンだと! ま、まずい!」
「言い忘れていたが俺は本来は剣士ではない……魔法を得意としている<魔術師>だよ」
魔法であるエリュシオンはかなりの上級の魔法である。これを使えるということはあいつの言っていることは間違ってはいない。かなりの上位の魔術師であるということだ。
俺はアカギの唱えた魔法であるエリュシオンを、まともにくらってしまい水中でもがき苦しみながら、この部屋の壁に激突した。
いって……くそ! 痛みはないが、俺のHPが……。
ふと、左上を見ると俺のHPは半分以上減ってしまっていた。すかさず、常備していた回復薬を使って回復をしたが、これ以上アイテムを使うわけにはいかない。数に限りがあるため、なるべく消費はしたくなかった。
「どうだ? 俺の魔法は?」
「水のあるところだとしてもこの威力は反則だろ……でも、なんであんたはそんな強力な魔法を使えるのに剣なんて持っているんだ?」
「その方が面白いだろ? 魔法も使えて剣も扱える魔術師なんてかっこいいだろ?」
「ふざけてるな」
「ふん……変わっていると言って欲しいな!」
まるで鮫のような速さでアカギは再び俺に迫ってきた。水中戦闘にかなり慣れているのだろうか? 人間とは思えないほど水中での動き方がうまかった。
俺もすぐに体勢を整え、カーナベルを向かってくるアカギを狙うように構えた。
「ふん!」
「うぉぉ!」
十文字に交錯する剣と剣。
どちらも一歩も引かず、とても熱いバトルが繰り広げられていた。
俺にはお前と違ってかけているものがある。エリザ、シェリー……そして自分の命。
正直のところ今にでも逃げ出したい気持ちはある。だがな……大好きだったゲームの世界に来た以上は逃げるわけにはいかねえよな!
それは本当に一瞬の隙だった。最初とは違い攻める俺に対して、アカギは防戦一方だった。
さっきの魔法はやはりかなりのMPを消費してしまったようで、もう一度魔法を唱えるということはしてこなかった。俺はここがチャンスだと思い、一気にアカギを攻めた。
やはり、剣による攻撃速度は俺の方が上。水中ということあってあまり本来の実力はだせていないけど、これなら十分にいけるな。
そして、その俺の言ったアカギの隙が生まれた。
守り疲れたのかアカギは本当に一瞬だけ、体勢を崩してしまった。俺はそんなアカギの隙を見逃さずチャンスだと思い、あの武器スキルを発動した。
「<海の嵐>(ウォーターサイクロン)!」
「あ、あれは……シロウの必殺技……」
「……ということはあのアカギはおされているのか?」
「なるほど、お前もやはり持っていたか……」
「残念だがこれで終わらせる! これ以上の戦いは俺も望んじゃいない!」
海の嵐はこの水中を支配した。まるで全てを吹き飛ばしてしまうような嵐だった。飲み込まれるようにアカギはその嵐の中に消えていった。さきほどのエリュシオンもかなりの威力だったが、俺の唱えた海の嵐もそれに負けないぐらいのものだった。
「はぁはぁ……」
疲れた。今日は二回も発動したからな……MPの消費も半端ないしこれっきりにしとかなきゃな。
それにしても強い相手だった。さすがは赤い雨のリーダーと言ったところか?
俺は落ち着きながらその場で呼吸していたそのときだった。
「おいおい? そんなものか?」
「……やっぱりまだまだ続くか」
「お前のその攻撃見事だったが、俺には全然きいていないということを教えてやろうか?」
「なに!? あ、ああ……うそだろ」
「残念だがこれが現実……そして、次でお前は終わりだ」
ばかな。ばかな、ばかな……こんなことがありえるか。これが俺の最高威力だったんだぞ? それなのに……あいつのHPは半分どころか、全然減っていない。きっと100ダメージも受けていないということだ。
いったいどうなっているんだ……?
アカギのことが何も分からず俺はその場で、焦りながら考え込んでいるとアカギはさきほどによる強力な魔法を俺に向けて唱えてきた。
「死ね<神水>(アポカリプス)」
「う、うそだろ……それは存在しないと言われる魔法……」
俺はそれを言いかけた途端、四方八方からあらわれた水の槍に突き刺さってしまった。
カーナベルによる自動回復も間に合うはずもなく、俺のHPは0となった。
焼き芋の創作サイト ここに他の話もあります。ぜひご覧下さい。
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「お前が赤い雨のリーダーアカギ……」
「驚きのあまり声が出ないか?」
「離して! 離してよ!」
「エリザ! すぐに助け出してやるからおとなしくししてろ!」
アカギという男はこの部屋の少し高い位置から俺たちを見下すように見つめていた。なるほどな、見た感じ風格も威圧感も感じる。間違いない、こいつがこの赤い雨のリーダーということか。
「その前にまずは自分の心配をしたらどうだ?」
「それは心配はないな……俺はあんたに負けるつもりはさらさらないしな」
「ほぉ……それは頼もしいな」
「赤い雨……」
「ん? まさかお前はシェリーか? なるほど……今までどこで何をしていたのかと思ったらこんなところで仲間と遊んでいたのか」
「は? おい……それはどういうことだ?」
俺はアカギの言葉に耳を疑った。あいつの口ぶりからみてあの男はシェリーのことを知っている。そして、まるで昔から一緒にいたような感じだった。信じたくはないがまさか……シェリーはもと赤い雨の一員だったのか?
しかし、俺の悪い予感は的中したようだった。
「お前の考えている通りシェリーはもと赤い雨の一員……そして、俺とともに数々の悪を犯してきたトップクラスのプレイヤーだった」
「そ、そんな……シェリーさんがそんなのうそよ!」
「シェリーそれは本当なのか?」
「……ぐ! 嘘はつかない……アカギの言っている通りに私はもと赤い雨の一員だった」
シェリーはいままで俺たちに見せたことがない表情で俺たちにこう言った。俺はそんなシェリーを見ているだけでつらかった。まさか、こいつがあの赤い雨のもと一員でしかも、この強さからして赤い雨のなかでもトップクラスの階級にいただろう。なぜ、こいつが赤い雨に入ったのは分からない。だけど、ここに俺たちといるということは共にこの赤い雨を倒したいという気持ちがあるからだ。
そんな覚悟を決めたシェリーを責める資格は俺にはない。今まで俺だってずっと迷ってきたんだ。
だったら、男として黙って一緒に戦ってやるのが本当の仲間っていうもんだ。
俺はゆっくりとシェリーの前方に出た。隣でアカギを目の前にして動けないシェリーとこれから戦う相手であるアカギに俺はこう言った。
「俺はお前ら赤い雨を倒しにきた……確かにシェリーには驚かされたけど、今は俺たちと一緒に戦う仲間だ! お前の口車にのせられるほど俺はそんなに甘くはないぞ?」
「……ほぉ? なるほど……さすがは俺たちに歯向かってきてここまで来たやつだ……肝が据わってやがる」
「御託はいい」
「ふん! まあ、俺だって鬼畜ではない……ここまできたお前には俺と戦う権利をやろう」
このやろうずいぶんと余裕だな。なめているわけではないと思うが、このアカギという男は俺よりかなりの実力者だろう。装備品を見てもそれが分かる。だけど、ここは戦うしかない。
額に少しの汗を感じながら俺はアカギの方を見ながら話を聞いていた。
「これから俺とお前が一対一のデュエルを行う! だが、デュエル時にはこの部屋のシステムを使って水中戦とさせてもらう」
「水中戦……ああ、望むところだ」
「お前が勝ったらこの俺の魔法『無限のひも』(イディオモール)を解いてやってあの小娘を解放してやる……そして、赤い雨も解散して多分お前らが求めている『青のカケラ』もくれてやるよ」
アカギから提示された条件は充分過ぎるほどによいものだった。何を考えているか俺には分からなかったが、とりあえずはその条件をのむということで無言で俺は頷いた。
「ただし、俺が勝ったらここにいるやつらは全員殺す……それはこの世界から消えてもらうことだ」
「何だと!? でも、そんなことこの世界が許すはずが……」
「デュエルのルールは俺が決める……そして、お前のHPゲージが0になった瞬間にこの場にいる全員が死ぬということだ」
「何が鬼畜じゃないだ……あんたは充分鬼畜だ」
「それは褒め言葉として受け取っておく……さて、ではそろそろ始めようか! <water onlin>開始だ!」
アカギが叫ぶと周りの無数にあるライオンの口から大量の水が勢いよく流れ始めた。そうか、このライオンはこのためだったのか。この部屋は時間ともに水が増えていき気付けば俺の首元まで、水の量が増えていた。完全に顔まで達すると俺のステータス画面が反応していた。どうやら、酸素ゲージがあらわれたという知らせのようだった。これが本来の<water onlin>である。地上とは違い限られた酸素、動きにくい水中内でどれだけ相手についていけるかが勝負の分かれ目だった。
そして、水が完全に水がこの部屋の天井に達したときだった。周りを見渡すと、エリザとシェリーはいつの間にか謎の泡のようなものに包まれていた。あれは、<観戦バブル>というもの。あのなかに入っていると、水の中のデュエルを観戦するときに酸素ゲージが減らなく攻撃されても、HPが減らないというものだった。
「しばらくあの二人には俺たちの戦いを見てもらうことにするよ……だが、最終的には俺が勝つけどな」
「ずいぶんと自信があるようだが……俺だって勝つ! いや、この戦いは絶対に勝たなくてはいけない……」
これは俺だけの問題ではない。目の前にいるエリザやシェリーの生死がかかっている。そして、こいつらに苦しめられた数々のプレイヤーのためにも俺がなんとかしないと駄目なんだ。
俺は装備武器であるカーナベルを取り出し、いつでも攻撃できるように構えた。
「いい目をしている……これは楽しめそうだな」
「あんただって背負っているものがあるんだろう? どうしてそんなに平常でいられる?」
「戦いというものはいわば無心でやるからこそ本当の力が発揮される……ゲームでも現実でも本番で緊張していては話にならない」
「あんたはそれができるということか?」
「これは実践のうちに鍛えられていく……別にそんなに難しいことではないそれではそろそろ始めるとしよう」
「シロウ! 必ず……必ず勝ってね!」
「……すまない、何も力になれなくて」
「エリザ……お前には何度も救われた、だから今度は俺が救う番だ! そして……正直お前にが赤い雨の一員だったなんて今でも信じられない……だけど、それでも俺はお前を仲間だと思っているだからそこで待ってろよ……シェリー!」
そして、お互いがデュエル開始位置の場所につきアカギのこの一言で試合は始まった。
「<water battle> スタートだな」
「ここはどこだろ・・」
宇宙艇で眠っていたカービィは目を覚ましたようだ・・
星戦士としてカービィは各宇宙を回り平和を脅かす魔獣を倒していた
ナイトメアを倒しプププランドを離れておよそ10年もの月日がたっていた・・
「みんなはどうしているだろう・・・」
10年前
カービィ達は宇宙戦艦ハルバードにのって
ナイトメアのいる宇宙に乗り込んでいった
そこで死闘を繰り広げてカービィはナイトメアを倒すのであった
それで宇宙に平和は訪れると誰もが信じていた・・
しかしある日のことだった・・
カービィは普段と同じようにみんなと遊んでいると
「カービィ ちょっといいか?」
僕に話しかけたのはメタナイト卿だった・・・
「ちょっと離れた場所に行こう・・・」
そう言われ僕とメタナイト卿はみんなとは少し離れたところに行った
「カービィ 実はナイトメアは倒したがまだ宇宙には平和を脅かす魔獣がいる・・」
「ぽよ?」
メタナイトは続ける・・
「カービィ・・私たちは星の戦士としてそれらの魔獣をたおさなければならない」
「つまり・・ここからしばらく離れなければならない・・」
「ぽよ!」
当時僕はまだ言葉をしゃべることができなくメタナイト卿が
言っていることがいまいちわからなかったが
メタナイト卿の表情を見たら何を言っているのかわかった・・
「ああ ここから離れなきゃいけないんだ・・・」
それから僕とメタナイト卿はお別れのあいさつを行った
最初はいろいろとお世話になったププビレッジから・・
僕たちが別れると聞いて驚くもの、泣くものなど
別れを惜しむ人が多かった・・
こんなにもの人が僕の別れを惜しんでくれてかなしかったけどうれしかった
次に一番お世話になっただろうデデデ城に行った
フーム達にこのことを話したら
「絶対いかせない!」と泣きながら言ってきた
ただメタナイト卿がうまく言ってくれたおかげでなんとか説得することができた
僕だって本当は離れたくはない・・
まだこのプププランドでフーム達と一緒にいたいがこれは
星の戦士としての運命なんだ・・
この噂を聞きつけてデデデ大王とエスカルゴンも僕の所に来た・・
またなにか僕にちょっかいをかけるだろうと思った瞬間・・
デデデ大王は僕に泣きついてきた・・
「お前がいなくなったらわしはどうなるんだ ゾイ」
と言ってくて別れを惜しんでくれた
エスカルゴンも泣いてくれていた・・
その夜プププランドは僕のために全員が揃って
いろいろなごちそうを作ってくれたり
僕の事を村人全員が祝福してくれた
僕にとって最高の思い出となった・・・
あれから・・みんなはどうしているだろう
元気しているかな・・?
そうやって僕がいろいろな事を考えていると・・
「カービィ 久しぶりにプププランドに戻ってみるか?」
メタナイト卿が何を言っているのか最初は
理解できなかった
なぜならもう戻れないと思っていたあのプププランドに戻れるからである
「メタナイト卿・・いいの?」
「ちょうどポップスターの近くまで来ている・・私は行ってもいいがカービィそなたはどうする?」
メタナイト卿の質問に僕は
「もちろんいくよ」
こうして僕は宇宙艇のレバーを少し引いて
10年ぶりにポップスターみんなのいるプププランドに降りていった・・
プププランド
僕とメタナイト卿を乗せた宇宙艇はププビレッジのすぐ近くの森へ着陸した
「うわー懐かしい」
そこには10年前と変わらない・・
自然、景色、空、太陽の光、小鳥の声・・・が僕たちを迎えてくれた
そして僕たちはププビレッジに向かった
ププビレッジも昔と全然変わっていなかった
買い物をする人、おしゃべりをしている人など
昔と変わらずとても賑わっていた・・
そうした中で
その村人の中から一人の男が僕に話しかけてきた
「お・・カービィじゃないか!」
話しかけてきたのはガスだった
「あ!ガス久し振りー」
「お! お前しゃべれるようになったのか 凄いな」
カービィはガスに褒められ少し照れていた
「ガスは今何してるの?」
「俺は今もガソリンスタンドを経営してるんだ
昔と違って車も普及しているから毎日忙しいぜ」
確かに周りを見てみると車に乗っている人達が結構いる
「ここも昔と違って都会的になったからな・・当たり前と言えば当たり前だけどな」
ガスとたわいもない話をしていると
「あら カービィじゃないの?」
「あー本当だ カービィー」
自分が呼ばれていることに気づき後ろを振り向いてみると
そこにはサモとメーベルが並んでいた・・
「サモ! メーベル!」
「カービイしゃべれるようになったの!」
「ああ すごいね」
サモとメーベルは感心しながら驚いている
「サモとメーベルは今何してるの?」
カービィが二人に質問すると・・
「実は僕たち結婚をしたんだ・・・」
「えーーーそうなの」
前から仲がいいということは僕もなんとなくは知っていたが
失礼ながらまさか結婚をしているとは思わなかった
「サモが先に告白してくれたの 最初は冗談だと思ったけどサモの目を見たらわかったわ
これは本気だと・・しまいにはサモは「結婚してくれー」って泣きついてきたわ」
「メ、メーデル・・」
ははははははは
「そういえば他のみんなはどうしてるの?」
「カワサキは料理修業とか言って5年前にどこかに行ったわ
時々こっちに来て料理を振舞ってくれるけど腕は相変わらずよ」
「カワサキらしいね・・」
「ボルン署長は引退したけど今だに元気でやっているわ・・
キュリオさんも化石を毎日掘るに行っていてまだ元気よ」
「へーみんな変わっていないんだね・・」
カービィが感心したようにメーデルの話しを聞き続ける
そのあとカービィ達は村人と昔の話しなどを
してからデデデ城へと向かった
「緊張するか?」
デデデ城へと向かう途中メタナイト卿はこんな
質問を僕にぶつけて来た
10年ぶりに会うかつての友達・・いや家族同然ともいえる存在だっただろう
緊張をしないわけがない
でも・・・・
「フーム達に会いたい」
という気持ちは変わらなかった
そしてついに・・デデデ城のフーム達のいる部屋まで来た・・
フーム達のいる部屋へとカービィ達は扉を開いた・・
そこにはみんながいた・・・・
「カービィ・・・?」
そこにはフーム、ブン、ロロロ、ラララ、メーム、パーム大臣
昔と変わらずみんながいた・・・
「みんな久し振り」
「カービィーーーー」
フーム達は僕に駆け寄ってきた・・・
「はは みんな痛いよ」
10年ぶりの再開・・それは10年間の空白が埋まった瞬間だった・・
「いや・・本当に久しぶりね・・」
「うん フーム達と会うのは本当に久しぶりだね」
「お、こいつしゃべれるようになったか」
ブンが感心そうにカービィのことを言う・・
周りをよく見てみるとみんな大人っぽくなっていた
月日の流れを感じながら再開を喜んでいると・・
「ねえ せっかくだからカービィに俺達が今どうしてるのか教えてやろうぜ」
ブンがそう提案した
カービィとメタナイト卿にとっては10年ぶりに会うから今
フーム達が何やっているのかわからない・・
「じゃあ私からいくわね」
フームがブンの提案を聞くとすぐさま話し始めた・・
「私は今は教師をやっているわ・・・」
「へ・・・フームなら頭がいいから適任だと思うよ」
フームを元々頭がとてもよく
僕がこの星を離れる前もよく勉強を教えてくれた・・
あまり理解は出来なかったが・・・
「姉ちゃん 今は小さいけど小学校で勉強を教えているんだ 子供達からは結構評判がいいんだぜ」
ブンが自慢げにそういう・・・
「へ・・フームってやっぱりすごいんだね・・・」
カービィが感心しながらフームを見る・・
しかし・・
「ううん・・・私はそんなに凄くないわ・・」
フームはカービィ達の言っていることを不定した・・
「私は教師になってわかったことがあるわ・・
最初私は生徒に勉強だけを教えればいいと思っていた・・
でもそれは大きな間違いなの 教師は生徒の気持ちを考えてその気持ちに気づいてあげないといけないの・・」
フームは話し続ける・・
「私は子供の頃教師という仕事はとても華のある仕事だと思っていた・・
でも現実は違ったわ 指導方法のクレーム、苦情の対応・・・辛かった時もあった・・」
「フーム・・」
僕は黙ってしまった 昔フームは教師になりたいと行って目を輝かせていた
そしてその夢がかなっていて僕としてはとてもうれしい・・
でもこんなに苦しくて、つらいフームを見るのは初めてだ・・・
「でもね・・教師をやっていてよかったと思えることもたくさんあるわ・・それは子供の笑顔よ・・」
「子供の笑顔・・」
「そう 子供はね・・本当に素直で私の授業を真剣に聞いてくれるの・・それが毎日の励みにになって
辛い時も「よし頑張ろう!」って気持ちになるの・・だから私は教師を続けてこれれるかもしれないの・・」
フームは静かにそう言い終わると話すのをやめた・・
周りはフームの話に驚いているが僕はそんなに驚いてはいなかった・・
なぜならフームはこれぐらいの事でめげないと一番僕がわかっていると思ったからである・・
「よし 次は俺だな」
フームが話し終えてしばらくその話の余韻が残ってたが、ブンの声で
みんなはブンの方に向いた・・
「俺は憧れていた警察官になったんだ」
「そうか・・・だからボルン署長は引退してたのか・・
こんな立派な警察官がいるならこの村は安全だな・・」
メタナイト卿の言葉にブンは敬礼した・・
「へへ ありがとう 俺もこの国が好きだからな・・
どうせなら一生この国を見れる職業に就きたいと思っていたんだ」
「お前らしいな・・ブン」
「僕たちはフーム達の召使いをしているんだ」
「私たちは年をあまりとらないからまだまだ働けるのよ」
ロロロとラララは元は一つの魔獣ローラだったが
魔獣キッタリハッタリに2人に分割されて2つの存在となってしまった
一度は元に戻るチャンスはあったがそれは幻となってしまった・・・
しかし本人達はそれほど気にしてないらしく今の状態を気に入っているらしい・・・
そんなこんなで10年ぶりにあったフーム達と話していると・・・
「何を話しているんだ ゾイ」
「さっきからうるさいで ゲスよ」
フーム達の部屋に入ってきたのはデデデとエスカルゴン
二人共結構老けているがまだまだ元気そうだ・・・
「やあ デデデ大王 エスカルゴン 僕だよ カービィだよ!」
カービィは2人に自分が帰ってきたことを知らせると・・・
「うわーーーーーー エ、エスカルゴンピンクのボールがしゃべってる ゾイ」
デデデは思わず後ろに転んでしまった・・
「陛下 忘れたんですか? カービィですよ カービィ まあ・・私も驚いた ゲスよ」
デデデは立ち上がって・・
「おお カービィだったか! 久し振り ゾイ」
「逆になんで忘れるんゲスかね・・・」
エスカルゴンは呆れ気味だ・・
そんなことはお構いなしにデデデはカービィに詰め寄って
カービィを持ち上げて顔に近づけてスリスリとしてきた・・
「おお これ ゾイ」
「デデデ・・相変わらずの馬鹿だな・・」
ブンがそう言ったが・・エスカルゴンも納得の様子だ・・
しかしカービィは昔と変わらないデデデを見れて嬉しそうだ・・・
「そうだ・・せっかくみんな揃ったんだから今日はカービィ達の再開祝いをしない?」
フームの提案に部屋にいる全員が納得したようだ・・
「じゃあ俺は村の人達にこの事を知らせてくるよ」
「僕達は食事の手伝いをしておくよ」
「僕とメームはこの祝いの手配をしておくよ」
「私と陛下はこの城の飾り付けと準備をしておくで ゲスよ」
「わしもか ゾイ?」
「当たり前で ゲスよ」
「みんなありがとう・・・」
「それじゃみんなそれぞれの準備に取り掛かってーー」
夜
カービィ達の再開祝いが始まった・・・
それぞれの楽しい出し物や、この祝いのために作ってくれた
食事など、あっという間に時間は過ぎていった・・
そして祝いが終わったあとの夜・・
カービィ達はデデデ城に泊めてもらった・・
僕はフームの部屋に寝かせてもらった・・
そんな中フームは僕に話しかけてきた・・
「ねえ カービィ起きてる?」
「うん・・まだ起きてるよ」
「カービィ達がプププランドを離れた10年間・・いろいろな事があったわ・・」
「・・・・」
「亡くなった人、変わっていく村、そして成長していく人達・・」
「当たり前の事だけど毎日がとても新鮮で楽しかったわ・・」
「でも・・やっぱりカービィがいないとかなしかったわ・・」
「フーム・・」
「毎日・・思い出したわ・・カービィと過ごした日々、カービィが魔獣を倒す姿、カービィが食べ物をおいしく食べる姿・・」
黙って僕はフームの話しを聞き続けた・・・
「ごめんね・・こんな話しをしてしまって・・」
「ううん いいんだよ・・ 僕も毎日フーム達の事のことを思っていたから・・」
「カービィ ありがとう・・・」
フームの目からは光り輝く物が出ていたような気がするが
僕は気にしなかった・・
「そろそろ 寝ようか・・ おやすみカービィ」
「おやすみ フーム・・・」
こうして僕とフームは話しを終えて眠りについた・・
そして・・別れの時・・
僕とメタナイト卿・・とたくさんの人達が宇宙艇の周りに集まっていた
「短い間だったがありがとう・・」
「本当にいってしまうの・・?」
フームとブンが悲しそうに2人に質問する・・
「うん・・まだ宇宙には平和を脅かす魔獣がたくさんいるんだ・・
それらを倒すのが僕達星の戦士としての役目だから・・」
「・・・わかったわ カービィ、メタナイト卿 またこのプププランドに遊びに来てね」
「うん もちろんだよ」
「カービィ そろそろいくぞ あまり長くいると別れが惜しくなってしまう・・」
「うん わかったよ・・ フーム・・教師の仕事は大変だと思うけど頑張ってね」
「カービィ・・・ありがとう・・」
「それから ブン 警察官としてこの村の平和を絶対守ってね」
「もちろんだ カービィ 」
ブンはカービィに向かって敬礼をした・・
「みんな 本当にありがとう・・」
そういうとカービィ達は宇宙艇に乗り込んだ・・
カービィはレバーを引き宇宙に向かって発進していった・・・
「行っちゃったな・・」
ブンは名残惜しそうに・・空を見上げている・・
「カービィ・・・ 十年後は誰からも尊敬される教師になって見せるわ
その時はもう一度・・この国に遊びに来てね・・・」
「メタナイト卿・・」
「なんだカービィ・・フーム達と別れてかなしいのか?」
宇宙艇を操作している中・・カービィはメタナイト卿に話しかけた・・
「みんなとは・・フーム達とはいつ会えるかな?・・ 」
「・・・わからない・・ もう会えないかもしれない・・」
メタナイト卿は冷静に言っているがどこかかなしみが伝わってくる・・
「でも・・」
メタナイト卿は言葉を続けた・・
「カービィ・・ 離れていても心は一つだ・・・」
「心は一つ・・」
メタナイト卿はこれ以上は何も言わなかった・・
心は一つ・・・
この言葉を考えながらカービィは次の
魔獣がいる所まで宇宙艇を操作していった・・
10年後ふたたび会うために・・
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これは昔pixivで書いたものです。いや……ひどいですねw。
現在はpixivでは活動していなくて、二次創作も執筆していないですが久しぶりに執筆したいですね。執筆していたポケモンの二次創作も完結していないので終わらせないと……w。
眠っていた作品なので皆さんに見てもらいたくてここに記事として投稿しました。
見てくださると嬉しいです。それでは!
追記
ツイッターを始めました。宜しければフォローのほうよろしくお願いします。