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焼き芋の気ままにゲーム攻略&創作

水の中のVRRMO -water online- 第九話 水の戦闘

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水の中のVRRMO -water online- 第九話 水の戦闘

焼き芋の創作サイト ここに他の話もあります。ぜひご覧下さい。
http://yamasaki.yu-nagi.com/

「お前が赤い雨のリーダーアカギ……」
「驚きのあまり声が出ないか?」
「離して! 離してよ!」
「エリザ! すぐに助け出してやるからおとなしくししてろ!」

 アカギという男はこの部屋の少し高い位置から俺たちを見下すように見つめていた。なるほどな、見た感じ風格も威圧感も感じる。間違いない、こいつがこの赤い雨のリーダーということか。

「その前にまずは自分の心配をしたらどうだ?」
「それは心配はないな……俺はあんたに負けるつもりはさらさらないしな」
「ほぉ……それは頼もしいな」
「赤い雨……」
「ん? まさかお前はシェリーか? なるほど……今までどこで何をしていたのかと思ったらこんなところで仲間と遊んでいたのか」
「は? おい……それはどういうことだ?」

 俺はアカギの言葉に耳を疑った。あいつの口ぶりからみてあの男はシェリーのことを知っている。そして、まるで昔から一緒にいたような感じだった。信じたくはないがまさか……シェリーはもと赤い雨の一員だったのか?
 しかし、俺の悪い予感は的中したようだった。

「お前の考えている通りシェリーはもと赤い雨の一員……そして、俺とともに数々の悪を犯してきたトップクラスのプレイヤーだった」
「そ、そんな……シェリーさんがそんなのうそよ!」
「シェリーそれは本当なのか?」
「……ぐ! 嘘はつかない……アカギの言っている通りに私はもと赤い雨の一員だった」

 シェリーはいままで俺たちに見せたことがない表情で俺たちにこう言った。俺はそんなシェリーを見ているだけでつらかった。まさか、こいつがあの赤い雨のもと一員でしかも、この強さからして赤い雨のなかでもトップクラスの階級にいただろう。なぜ、こいつが赤い雨に入ったのは分からない。だけど、ここに俺たちといるということは共にこの赤い雨を倒したいという気持ちがあるからだ。
 そんな覚悟を決めたシェリーを責める資格は俺にはない。今まで俺だってずっと迷ってきたんだ。

 だったら、男として黙って一緒に戦ってやるのが本当の仲間っていうもんだ。

  俺はゆっくりとシェリーの前方に出た。隣でアカギを目の前にして動けないシェリーとこれから戦う相手であるアカギに俺はこう言った。

「俺はお前ら赤い雨を倒しにきた……確かにシェリーには驚かされたけど、今は俺たちと一緒に戦う仲間だ! お前の口車にのせられるほど俺はそんなに甘くはないぞ?」
「……ほぉ? なるほど……さすがは俺たちに歯向かってきてここまで来たやつだ……肝が据わってやがる」
「御託はいい」
「ふん! まあ、俺だって鬼畜ではない……ここまできたお前には俺と戦う権利をやろう」

 このやろうずいぶんと余裕だな。なめているわけではないと思うが、このアカギという男は俺よりかなりの実力者だろう。装備品を見てもそれが分かる。だけど、ここは戦うしかない。
 額に少しの汗を感じながら俺はアカギの方を見ながら話を聞いていた。

「これから俺とお前が一対一のデュエルを行う! だが、デュエル時にはこの部屋のシステムを使って水中戦とさせてもらう」
「水中戦……ああ、望むところだ」
「お前が勝ったらこの俺の魔法『無限のひも』(イディオモール)を解いてやってあの小娘を解放してやる……そして、赤い雨も解散して多分お前らが求めている『青のカケラ』もくれてやるよ」

 アカギから提示された条件は充分過ぎるほどによいものだった。何を考えているか俺には分からなかったが、とりあえずはその条件をのむということで無言で俺は頷いた。

「ただし、俺が勝ったらここにいるやつらは全員殺す……それはこの世界から消えてもらうことだ」
「何だと!? でも、そんなことこの世界が許すはずが……」
「デュエルのルールは俺が決める……そして、お前のHPゲージが0になった瞬間にこの場にいる全員が死ぬということだ」
「何が鬼畜じゃないだ……あんたは充分鬼畜だ」
「それは褒め言葉として受け取っておく……さて、ではそろそろ始めようか! <water onlin>開始だ!」

 アカギが叫ぶと周りの無数にあるライオンの口から大量の水が勢いよく流れ始めた。そうか、このライオンはこのためだったのか。この部屋は時間ともに水が増えていき気付けば俺の首元まで、水の量が増えていた。完全に顔まで達すると俺のステータス画面が反応していた。どうやら、酸素ゲージがあらわれたという知らせのようだった。これが本来の<water onlin>である。地上とは違い限られた酸素、動きにくい水中内でどれだけ相手についていけるかが勝負の分かれ目だった。

  そして、水が完全に水がこの部屋の天井に達したときだった。周りを見渡すと、エリザとシェリーはいつの間にか謎の泡のようなものに包まれていた。あれは、<観戦バブル>というもの。あのなかに入っていると、水の中のデュエルを観戦するときに酸素ゲージが減らなく攻撃されても、HPが減らないというものだった。

「しばらくあの二人には俺たちの戦いを見てもらうことにするよ……だが、最終的には俺が勝つけどな」
「ずいぶんと自信があるようだが……俺だって勝つ! いや、この戦いは絶対に勝たなくてはいけない……」

  これは俺だけの問題ではない。目の前にいるエリザやシェリーの生死がかかっている。そして、こいつらに苦しめられた数々のプレイヤーのためにも俺がなんとかしないと駄目なんだ。
 俺は装備武器であるカーナベルを取り出し、いつでも攻撃できるように構えた。

「いい目をしている……これは楽しめそうだな」
「あんただって背負っているものがあるんだろう? どうしてそんなに平常でいられる?」
「戦いというものはいわば無心でやるからこそ本当の力が発揮される……ゲームでも現実でも本番で緊張していては話にならない」
「あんたはそれができるということか?」
「これは実践のうちに鍛えられていく……別にそんなに難しいことではないそれではそろそろ始めるとしよう」

「シロウ! 必ず……必ず勝ってね!」
「……すまない、何も力になれなくて」
「エリザ……お前には何度も救われた、だから今度は俺が救う番だ! そして……正直お前にが赤い雨の一員だったなんて今でも信じられない……だけど、それでも俺はお前を仲間だと思っているだからそこで待ってろよ……シェリー!」

 そして、お互いがデュエル開始位置の場所につきアカギのこの一言で試合は始まった。

「<water battle> スタートだな」 

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