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焼き芋の気ままにゲーム攻略&創作

水の中のVRMMO -water online- 第十話 実力

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水の中のVRMMO -water online- 第十話 実力

 焼き芋の創作サイト 他の話はこちらにあります。
 http://yamasaki.yu-nagi.com/

 俺とアカギの一対一のバトルがついに始まった。俺にとってこの世界に来てからの水中での戦いは初めてだった。だから、まずは相手の動きを見ながらこの水中戦に慣れるしかない。

「さてと……俺の攻撃についていけるかな?」
「ついていけるかじゃない……俺はお前の攻撃についていかなければ死ぬからな!」
「ほぉ? それは確かにそうだな!」

 俺のレベルが31、そしてアカギのレベルが40といったところか。ステータスを見る限り俺より少し高いと言ったところか? いやにこいつのレベルが低いのが気になるが……これぐらいのレベルの差ならいける。
 後は装備品だ。見た感じは大剣と言ったところか……武器の名前はこの辺で出現するモンスターの武器。
 大した武器ではないし、武器スキルもない武器だ。防具もいたって平均的なもの。

 こんなやつがこの赤い雨のリーダーなのか?
 いやいや、ステータスの強さだけがこの世界の全てではない。
 顔と顔があうこの状況で、相手の顔の見えなかったゲームとは違う。経験や運動能力なども考慮する必要がある。そして、左上に表示されている酸素ゲージにも気をつけなければ……。

 そして、そんなことを考えているうちにアカギが勢いよくこちらに迫ってきた。大きな剣を俺に向かって振りかざしてきた。この一撃をくらってはかなりのダメージを受けてしまう。それほど、アカギの攻撃は速くてその証拠に、俺は自分の顔に風を感じた。
 水中で動きにくい中で俺はアカギの攻撃を防ぐために、俺の武器であるカーナベルで受け止めた。

 水の中でも金属音が響き渡り、剣と剣が水の中で火花を散らして交錯する。
 俺とアカギの攻撃はそれほど激しいものだった。

「ほぉ……やるな」
「あんたこそな……なんでそんな平凡な武器でこんな攻撃ができる」
「レベルの差があるなかで俺の攻撃を受け止めたお前も見事だな……だが!」

 鍔迫り合いの中でアカギは口元で何かをつぶやいた。俺はやばいと心の中で感じて距離をとろうとしたが、アカギのその行動が一歩速かった。
 つぶやいた内容は魔法名である。そして、俺の目の前に水のドラゴンが現れた。

「<破滅の水龍(エリュシオン)>」
「エリュシオンだと! ま、まずい!」
「言い忘れていたが俺は本来は剣士ではない……魔法を得意としている<魔術師>だよ」

 魔法であるエリュシオンはかなりの上級の魔法である。これを使えるということはあいつの言っていることは間違ってはいない。かなりの上位の魔術師であるということだ。
 俺はアカギの唱えた魔法であるエリュシオンを、まともにくらってしまい水中でもがき苦しみながら、この部屋の壁に激突した。
 いって……くそ! 痛みはないが、俺のHPが……。

 ふと、左上を見ると俺のHPは半分以上減ってしまっていた。すかさず、常備していた回復薬を使って回復をしたが、これ以上アイテムを使うわけにはいかない。数に限りがあるため、なるべく消費はしたくなかった。

「どうだ? 俺の魔法は?」
「水のあるところだとしてもこの威力は反則だろ……でも、なんであんたはそんな強力な魔法を使えるのに剣なんて持っているんだ?」
「その方が面白いだろ? 魔法も使えて剣も扱える魔術師なんてかっこいいだろ?」
「ふざけてるな」
「ふん……変わっていると言って欲しいな!」

 まるで鮫のような速さでアカギは再び俺に迫ってきた。水中戦闘にかなり慣れているのだろうか? 人間とは思えないほど水中での動き方がうまかった。
 俺もすぐに体勢を整え、カーナベルを向かってくるアカギを狙うように構えた。

「ふん!」
「うぉぉ!」

 十文字に交錯する剣と剣。
 どちらも一歩も引かず、とても熱いバトルが繰り広げられていた。

 俺にはお前と違ってかけているものがある。エリザ、シェリー……そして自分の命。
 正直のところ今にでも逃げ出したい気持ちはある。だがな……大好きだったゲームの世界に来た以上は逃げるわけにはいかねえよな!
 それは本当に一瞬の隙だった。最初とは違い攻める俺に対して、アカギは防戦一方だった。

 さっきの魔法はやはりかなりのMPを消費してしまったようで、もう一度魔法を唱えるということはしてこなかった。俺はここがチャンスだと思い、一気にアカギを攻めた。
 やはり、剣による攻撃速度は俺の方が上。水中ということあってあまり本来の実力はだせていないけど、これなら十分にいけるな。
 そして、その俺の言ったアカギの隙が生まれた。

 守り疲れたのかアカギは本当に一瞬だけ、体勢を崩してしまった。俺はそんなアカギの隙を見逃さずチャンスだと思い、あの武器スキルを発動した。

「<海の嵐>(ウォーターサイクロン)!」
「あ、あれは……シロウの必殺技……」
「……ということはあのアカギはおされているのか?」

「なるほど、お前もやはり持っていたか……」
「残念だがこれで終わらせる! これ以上の戦いは俺も望んじゃいない!」

 海の嵐はこの水中を支配した。まるで全てを吹き飛ばしてしまうような嵐だった。飲み込まれるようにアカギはその嵐の中に消えていった。さきほどのエリュシオンもかなりの威力だったが、俺の唱えた海の嵐もそれに負けないぐらいのものだった。

「はぁはぁ……」

 疲れた。今日は二回も発動したからな……MPの消費も半端ないしこれっきりにしとかなきゃな。
 それにしても強い相手だった。さすがは赤い雨のリーダーと言ったところか?
 俺は落ち着きながらその場で呼吸していたそのときだった。

「おいおい? そんなものか?」
「……やっぱりまだまだ続くか」
「お前のその攻撃見事だったが、俺には全然きいていないということを教えてやろうか?」
「なに!? あ、ああ……うそだろ」
「残念だがこれが現実……そして、次でお前は終わりだ」

 ばかな。ばかな、ばかな……こんなことがありえるか。これが俺の最高威力だったんだぞ? それなのに……あいつのHPは半分どころか、全然減っていない。きっと100ダメージも受けていないということだ。
 いったいどうなっているんだ……?
 アカギのことが何も分からず俺はその場で、焦りながら考え込んでいるとアカギはさきほどによる強力な魔法を俺に向けて唱えてきた。

「死ね<神水>(アポカリプス)」
「う、うそだろ……それは存在しないと言われる魔法……」

 俺はそれを言いかけた途端、四方八方からあらわれた水の槍に突き刺さってしまった。
 カーナベルによる自動回復も間に合うはずもなく、俺のHPは0となった。

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